柳都物語 第51回・謎だらけ
【柳都物語 第51回・謎だらけ】
斉藤たちは、それっきり体育館に遊びに出ちまった。
おれも誘われたんだけど、断った。
そんな気分じゃねえやって感じだ。
三角形の謎だろ………(「第37回・謎の三角形」)。
黒いうずの謎だろ………(「第39回・龍?」「第40回・アンテナと十字架」)。
そして、新たな赤い光の謎………(「第50回・赤い光」)。
それに何より、菊池理絵の謎………(「第46回・理絵の黒髪」)。
何だか、謎だらけの、問題山積みって感じだ。
「尚樹、解けた? 三角形の問題」
ぼーっと考えこんでると、肩ごしに奈美の声がした。
「ぜんぜん。おまえは?」
「まったく。悔しいけどね。今日、おじいちゃんち行ってみない?」
「答えが出てないのにか? どうしても解りませんでしたって言いに行くのかよ」
「そいつよねー。やっぱ、もう少し考えてみるか。今日は理絵ちゃんもいないしね。今度、みんなそろったときに行こう。あ、そんなら、理絵ちゃんちにお見舞い行かない? 麻美子がプリント届けることになったから、あたしもいっしょに行ってみようと思って。尚樹も来ない? あんたにも少しは責任あるんだから」
「何だよ、責任って」
「だから、あんたが走らせたからでしょ、理絵ちゃん風邪引いたの」
「何でだよ。決めつけんなよ」
「また、すぐムキになる。冗談よ。でも、ほんとに行かない?」
「ちょっと大げさじゃねえのか」
「まあ、それもそうよね。男子までいっしょに行ったんじゃ、家の人に変に思われるかもね」
奈美は、ひとりでうなずきながら女子の輪に戻ってった。
奈美があっさり引き下がってくれたんで、正直ホッとした。
まだ気持ちの整理がついてないって感じで、理絵の家に行くなんて度胸、今日のところは湧いてきそうもなかった。
「まーだ、それ考えてんのかよ?」
また肩ごしに声がした。
振り返ると、マメオヤジがおれのノートをのぞきこんでた。
「あたりまえだろ。え? ま、まさかおめー、解けたって言うんじゃ?」
「ぜーんぜん」
マメオヤジは、両手を広げて首を横に振った。
一瞬でも、こいつに期待したおれがバカだった………。
「それよかさ、どんな案配なのかな、菊池理絵ちゃん」
「どんなって、風邪だろ。天津がそう言ってたじゃねえか」
「尚樹くん、とっても心配?」
「バカ言ってんじゃねえよ」
「女子がさ、放課後お見舞いに行くって言ってたぜ」
「だから、大げさなんだよ。ただの風邪じゃねえか」
「でも、きのうの顔なんか真っ白だったじゃん」
「変なもの見たせいだろ」
「奈美はピンピンしてるぜ」
「あいつといっしょにすんなって」
「そりゃそうだ。それよか、体育館行かねえ? 斉藤たち、バスケしに行ったぜ」
「そうだな………」
気分じゃねえけど、ここで考えてたって、どうせ答えなんか出っこねえし………。
からだ動かして、気分転換すっか。
1階まで階段降りて、体育館につながる廊下へ出たとこだった。
「やべっ」
おれは、思わず階段室に身を隠した。
「尚樹、何やってんだよ?」
「シーッ」
人差し指を口にあてたまま、マメオヤジを手で招く。
「どうしたってんだよ?」
寄ってきたマメオヤジを引っぱりこんで、その口を手でふさいだ。
そのまま、ソーッと廊下をのぞいてみると………。
まだいる。
「痛てっ」
このバカ、手に噛みつきやがった。
「何すんだよ」
「それは、こっちのセリフだっ。殺す気かよ。おれは今、鼻詰まってんだって。きのうも言ったろ」
「でかい声出すなよ」
「何だってんだよ、いったい」
「竹内先生だよ。いただろ、廊下に」
「え?」
廊下に顔を出そうとしたマメオヤジを、襟首つかんで引き戻す。
「放せよ。おれにも見せてくれよ、美鳥ちゃん」
「ミドリちゃん?」
【次回投稿は12月23日の予定です】→柳都物語「第52回・ミドリちゃん」
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